■■■ 大きな部屋で ■■■■■■■ さすらい 1977/4

 

思いっきり 上を見上げてみた。
頭の上に お空が見えた。
まっさおな天じょうが
どこまでもどこまでも 続いていた。
そして 足下では大地が 黒々と
見えるかぎりの向こうまで続いている。

この空と地面の間で 人は生きている。

子どもが遊んでいる。
買い物をする人。
  歩いている人。
自転車。
たくさんの人々をのせて電車が通る。

人の活気が大気を動かす。
命のいぶきがかけめぐり 地平線に届く。
気が遠くなりそう喧噪。
 思わず目をつぶって深呼吸。

   
この空の天じょうは どこまでも続いている。
そして 地面も またーーー 。
まるで 世界は 一つの部屋だ。

  一つの天じょうに 一つのゆか、
大きな 大きな
どこまでもどこまでも続く
一つの部屋だ。
この大きな部屋の中でぼくは生きているんだ。

ぼくばかりじゃない。
家族も仲間も、
遠くに引っ越していったなつかしい友だちも、
ちょっぴり気になるあのかわいい女の子も、
まだあったことのない友だちも、
海の向こうの
知らない言葉を話す人たちも、
世界中がみんなみんな
この大きな一つの部屋にすんでいる。

空と地面の間をどこまでも行けば、
誰とでも会える、話が出来る、
あくしゅだってできる。
世界は一つの部屋!
なんてすてきなことだろう。


そっと耳をすませてみた。
どこかから 笑い声が聞こえてくる。
東からも、南からも、
西からも、北からも。
???ハハハハ??フフフフ????ホホホホ????
そして・・・・・・・・・・・・・
   風に乗って、かすかにーーーーーー
   悲しそうな声も・・・聞こえてくる。

しあわせな誰かがいる。
ふしあわせな誰かも・・いる。
おんなじ部屋の中なのに。


真っ青な空に広々とした地面。
同じ天じょうに同じゆかの、
この大きな一つの部屋の仲間たち。

全部の人がしあわせで、
どこからも
わらい声ばかりが聞こえたらいいなあ。
そんな世界になることを願おう。
そんな世界を作るために
ぼくにできることを考えてみよう。



     ■■■     ■■■■■■■ さすらい 1984/4


   その朝ぼくは 扉の前に立っていた
   顔 顔 顔  みんな知らない 顔 顔 顔 顔 顔
   気がつくと 母親に手を引かれ
   ぼくは いつのまにか 扉の中に立っていた


               その朝ぼくは 扉の前に立っていた
               わけのわからない胸騒ぎとうれしさ
               気がつくと 友だちと手をつなぎ
          ぼくは 扉の中の世界に住んでいた


       その朝のことを ぼくは はっきりとは おぼえてない
       夢の中のように 心にぼんやりとうかんでくる
      今わかる その朝ぼくは
      人生の数限りない扉の中でも 
       一番輝いた扉の1つの前に 佇んでいたのだと





■■■  痛む! ■■■■■■■  さすらい 1997/4



指が痛むのって どんなとき?
草の葉っぱで切ったとき 
紙でこすって切ったとき 
つーっと一滴血がたれて
しくしくしくといたみます

足が痛むのって どんなとき?
いらいらむしゃくしゃやつあたり
思わずかべを蹴ったとき
たまには生爪はがしかけ
じんじんずきずき痛みます

心の痛むのって どんなとき?
いっぱいいっぱいありすぎる



指の痛みはそのうち止まる
足の痛みもいつかは止まる
やがてはすっかり忘れてしまう
でもー
心の痛みはなかなか消えぬ
ときには一年三年五年
あるいは十年何十年・・・・
相手の顔が浮かぶたび
記憶のアルバム開けるたび
胸からこぼれた見えない血潮
今も心にたまります 
制作 さすらい人 2001〜
■■■  やさしさのみつけられる人に   ■■■■■■■
                               さすらい 2003/1/9

やさしさのみつけられる人になろう
じぶんの心の中に
やさしさをもつ人は
あいての中のやさしさがわかる
この地球で 今も静かに流れ続けている
やさしさが見える

人の心のやさしさは
もつれた糸の先にかくれた妖精のように
そっとしていてめだたない
自然のやさしさは
大きな岩の向こうに つめたい水の下に
だまってかくれている

あなたの心にも
やさしい妖精をすまわせよう
やさしさのみつけられる人になろう

そうしたら
あなたの心は

あいてのことばの中に 
    しぐさの中に
あらあらしい自然の中にさえも
やさしい妖精を
たくさん たくさん みつけられる
あなたのことばやしぐさ
ひとつひとつのなかにも
やさしい妖精がすみつくだろう

やさしさのみつけられる人になろう
■■■  桜  ■■■■■■■  
                    さすらい  2003/4/8

 今年も桜の若木に 花が咲いた。
 去年と同じ花?
 去年と同じ花であるはずがない。
 同じに見えても 新しい花だ。
 一年辛抱して ことしもつけた 新しい花だ。
 それが証拠に
 心なしか 幹が太くたくましくなっている。
 同じような顔をしていながら 
 木は しっかりと成長を続けていたのだ。

 子どもも 去年とどこか違っている。
 一年間力を蓄え 成長を続けてきたのだから。
 新しい年が巡ってきて
 子どもは また新しい成長をはじめている。









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■■■   二つの手・・・ ■■■■■■   
                     さすらい  2004年1月12日

二つの手 一つは自分のために
 もう一つは  他者(ほかの人)のために

二つの目 一つは自分の心をのぞくために
 もう一つは だれかの喜びや悲しみに気づき
いっしょに喜び いっしょに悲しむために

二つの耳 ひとつは自分の心のつぶやきをきくために
 もう一つは
     どこかで助けを呼ぶ声聞き落とさないために

二つの足 一つは自分がしっかり立つために
  もう一つは 誰かのために駆けつけられるように

でも、心は一つ
  手も 目も 耳も 足も 
    心の言うままに動くに違いない


だからこそ とびきり優しい心になるんだ 
手や目や耳や足が困らないように