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シューベルトとの最初の出会いは、「菩提樹」でした。多分小学生の頃、給食のBGMで流れたウィーン少年合唱団の合唱の短調部分を聴いていて、震えのくる感動を味わいました。
中学1年生(12歳)の時、わけもわからないまま「未完成」交響曲を買ってきて聴きました。何回も繰り返して聴きました。これが決定的な出会いとなりました。以来、シューベルトはいつも傍らにいる大切な存在になりました。「鱒」、「グレート」、「死と乙女」、三大歌曲集、弦楽五重奏曲ハ長調、弦楽四重奏曲ト長調、ミサ曲第6番変ホ長調、「ラザロ」、ピアノトリオ・・・・・・・・手当たり次第に聴き、ますます離れられなくなりました。 このページは、そんな私のささやかな引き出しです。
さすらい人
2001年1月
さすらい人がお勧めするシューベルトの作品
31才 ○交響曲ニ長調(未完)・・・スケッチだけだがCDになっている。マーラーを思わせるところがある。作曲
時期は死ぬ少し前。シューベルトが意欲を持っていたときの突然の死。
31才 ◎ピアノソナタ第21番変ロ長調・・・近年有名になった曲。弦楽五重奏曲と並んでシューベルトの到達した
世界の集大成。2楽章は、あまりの深さに涙なしに聴けない。
31才 ◎弦楽五重奏曲ハ長調・・・古今の5重奏曲中屈指の傑作。ブラームスなどに大きな影響を与えた。
ブラームスのピアノ5重奏曲や交響曲1番のエンディングに、この曲の
影響がはっきりと感じられる。深い精神性を感じる。
31才 ◎歌曲集「白鳥の歌」(特に後半のハイネ歌曲)・・・歌曲の新境地。印象派のタッチさえ聴き取れる。
31才 ◎ミサ曲第6番変ホ長調・・・合唱が主体のミサ。人間の心の叫びの音楽。シューベルト最後のドラマ
チックなオケがすごい。グローリアやアニュス・デイなど鬼気迫る部分がある。
31才 ◎ピアノ連弾のためのロンドイ長調・・・さりげなく和やかそうな中に陰のように忍び寄る悲しみ。
31才 ◎ピアノ連弾のための幻想曲ニ短調・・・カロリーネ姫に捧げられた。古今の連弾曲中の最高峰のひとつ。
冒頭のテーマが最後に回帰する循環形式の試みがあったり、
フィナーレに2重フーガが出てきたりと工夫が盛り込まれている。
それでいて完全なロマン派の語調。しかも深い。
30才 ◎歌曲集「冬の旅」全曲・・・・・初めて聴いた仲間たちが理解できなかったとか。これだけ深い内面のドラ
マがそれまでなかったのだから無理もないが。
30才 ○2つの即興曲集と「楽興の時」・・・シューベルト小品の中では最も有名。
30才 ○バイオリンとピアノのための幻想曲ハ長調・・・いくつかに分かれているが連続して演奏される。ハンガ
リー風な響きが聞こえる。
30才 ○ピアノ3重奏曲第2番変ホ長調・・・2楽章の音楽が一種の挽歌にきこえる。フィナーレで再現される。
30才 ○ピアノ3重奏曲第1番変ロ長調・・・「鱒」の流れをくむような明るさを感じさせるが音楽はずっと充実。
29才 ◎弦楽四重奏曲第15番ト長調・・・トレモロやピチカート、大胆な進行が随所に出てくる。1楽章はブルッ
クナーに2楽章はブラームスにつながっていくという人もいる。
28才 ○交響曲第9(8)番ハ長調「グレート」・・・以前31才作といわれたが、近年の研究で28才に。
27才 ○弦楽四重奏曲第14番ニ短調「死と乙女」・・・声楽のテーマを使いながら堂々の器楽曲。
25才 ○交響曲第8(7)番ロ短調「未完成」・・・当時としては、まったく新しい音楽で、ベートーヴェンと同時期に
この曲が作られていたと言うがすごい。
23才 ◎3幕の宗教劇「ラザロ」・・・・残念ながら3幕の内2幕の終わり近くまでしか残っていない。1幕の音楽は
終始美しく叙情的で、2幕はオペラ顔負けのドラマチックな音楽。特筆した
いのは、ほとんど がレシタチーヴォでつくられていて、アリアはその中から発生
してくるような作り方がされ、音楽はドラマの流れにあっている。すなわち
、後のワグナーの先駆的な作品。
23才?○合唱曲(8声部)「水の上の精霊の歌」・・・ゲーテの歌詞が、みずになぞらえて人の一生を語るような
ひどく抽象的な内容なのによくこんなにあじのあるきょくになったと感心。
1度は聴いてもらいたいシューベルトの作品を集めてみた。ランク付けはないが、こうして並べてみると
30才から死ぬ31才にかけての作品は、作るもの作るものが傑作である。しかも、あとへいけばいくほど 曲は深くなり、すごみを増している。人間離れした創作力である。この時期の作品のことを「傑作の森」と 呼ぶ人もいる。◎はまっさきに聴いてもらいたいという意味。
31才に突然の死がおとずれなければどれだけの音楽をかいたか、そうおもうと悔しい。「冬の旅」を聴いていると
かなりの年の人のような内面性の深さを感じるが、死んだときはまだ31才の青年だった。不思議な人である。たった
18年の作曲期間に千曲の作品を残したのだから、やはり天才だったと言うしかない。