弦楽四重奏曲「旅人のモノローグ」原典
     CM−64版(未完成)再現
第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章(未完成)
 弦楽四重奏曲「旅人のモノローグ」は、大学1年生だった1966年の夏頃、鉛筆と五線紙だけで書き始められ、第1楽章の序奏と提示部まで書き進んできたところで、音にする方法がないこともあり、中断したまま長い間、書棚の隅で眠っていた。
 事情がかわったのは、パソコンが普及し始め、何と音楽入力用のソフトが、演奏をやってくれる音源と一緒に売られるようになってきてからだった。楽器演奏はできないが、譜面はわかる私としては、ある日突然に作曲の手立てを見つけられたことになる。このときの音源は、今は幻の名機となって過去に沈んでしまったが、CM−64といい、差し替え用のカードを使うことで、弦楽四重奏曲に理想的な環境を提供してくれることにある日気がついた。そして、かつて書きかけたままになっていた楽譜を思い出し、完成させようと思い立った。
 こうして、CM−64という音源を武器にして、1990年の10月に書き始められた曲は、1993年には第3楽章(第一項稿)まで進んでいた。第3楽章で迷いが出てしばらく中断する間に、CM-64を出していたローランド社は、規格統一されたGM音源を拡張したGS規格のSC55やSC88・・・・・SC8850へと、急速に移行していきCM−64は廃れていった。SCを冠した音源はやがてUSBにも対応していき、より使いやすくなっていった。弦楽四重奏曲「旅人のモノローグ」は新たにGS音源用のデータへと書き換えられ、第3楽章後半の改稿、第4楽章と進んで、一応の完成を見たのは、1998年の8月だった。これまでこのホームページに発表していたのはこのSC版である。
 ところがつい先日、CM−64の音で録音されたMDが見つかった。CM-64の音は素晴らしかったし、曲の第3楽章がだいぶ違うところもあり、聞き比べてみるのも悪くないという気がしてきた。それレで、思い切ってここの陳列棚に並べることにした。
 そんな経過をたどってきた音が今あなたのお聴きになっている音である。もしお時間があったら完成版と比べてください。今聞いてみて、よりシンプルな第3楽章も悪くなかったなと感じている。第4楽章は全くの未完で、導入部分だけである。

                          2012.11.20.深夜 さすらい 拝